今回の記事を書いてくださったのは、

村上 沙織さんです。

1999年(平成11年)4月入学 13回生

【現在の村上さんに関係のある写真】
さて、何の写真でしょうか? 答えは文章中にあります。読んでみてください。
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【日本語教育コースでの思い出】

日本語教育コース(私達の代は今も昔も『日狂』と呼んでますね。笑)では、授業ごとに違ったグループでの発表があり、それらを通して日狂全体の親睦が深まったと思います。下宿先やファミレスに集まって夜中まで発表原稿を作ったのは良い思い出です。
 また、週2回のサークル活動でも科や学年を越えた沢山の仲間に恵まれ、喜怒哀楽を共にしました。大学3年生の夏合宿で1年間の運営をやり遂げた時は達成感を感じました。
 今でも大学時代の友人たちとの交流があり、懐かしい昔話に花が咲く時間が楽しいです。

【現在のこと】

 私は今、盲学校で寄宿舎指導員をしています。盲学校とは視覚障害者のための特別支援学校で、通学困難者のために寄宿舎が敷地内に設けられています。寄宿舎生が寄宿舎生活を通して生活スキルを身に付け、将来の社会的自立ができるよう、生活をともにしながら指導や支援をするのが寄宿舎指導員の役割です。
 私たちは情報の80〜90%を視覚から得ていると言われています。例えば、食事をするときに晴眼者(視覚障害のない人)の場合は目で見てある程度の食材がわかったり、美味しそうな見た目に心躍ったりすると思いますが、全盲(全く見えない)の視覚障害者の場合は説明がなければ「お皿のどこに何がどのように盛り付けられているか」「食材に何が使われているか」などの情報を得ることはできません。
 今回添付した写真のような食事が全盲の視覚障害者の目の前に提供開始された場合、あなたならどう説明しますか。添付画像を見ながら少し考えてみましょう。
 この画像は、私の勤務する寄宿舎で提供されている夕食の一例です。このような配膳の場合、一般的には「左手前にごはん、右手前にみそ汁、左奥にマカロニサラダ、奥中央に煮込みハンバーグ、右奥に麦茶の入ったコップがあります。ハンバーグのお皿は6時の位置にきのこの載った煮込みハンバーグ、1時にインゲンが7本くらい、10時にかぼちゃが2つあります。」と言う風に説明するとわかりやすいと思います。視覚障害者にはお皿を時計に見立てる「クロックポジション」で説明することが多く、食べ残しがある場合もこれで説明します。みそ汁の具に関しては、勤務校では献立表に記してあるため説明しませんが、場合によっては説明すると親切かもしれません。 
 視覚障害者が生活スキルを定着するには時間がかかり、指導する側も試行錯誤を繰り返すことがあります。そんな時、今の勤務先では指導員全員で情報共有して寄宿舎生1人ひとりを指導していく体制があり、日々同僚から勉強させてもらっています。時には寄宿舎生の言動から学ぶことも多くあります。私が特別支援に携わってからまだ7年ほどですが、生徒個人に合った指導方法を教員が生徒と共に模索していく形こそが特別支援教育の面白く、奥が深いところだと思います。

○村上さん、記事を書いてくださり、ありがとうございました。日本語教育とはまた違った世界を知ることができました。写真のこと、なるほどと思いました。(小林 旧姓:伊藤)

○日本語教育卒業生の記事を掲載していく予定です。お楽しみに。(野本 旧姓:森)